自然と調和し、精神の伴うワイン造りを
カムイ・メトッ・ヌプリの新たな挑戦
理想的な醸造の「場」を追求する
トカプチのワイナリー「カムイ・メトッ・ヌプリ」はアイヌ語で十勝岳連峰の「神霊ある山の尾根」を意味します。 自社農場の森林より新月伐採したカラマツを使用し、ログビルダーの長谷氏を中心に建設。真ん中に8本の柱があり天井を見上げると八角形になっており、それは循環する円をイメージしています。醸造所と合わせることでレムニスカート(円環するメビウスの輪状)を表現しました。 醸造庫の資材にはπウォーターのセラミックといやすろ水を抗酸化技術としてコンクリートに利用し、理想的な醸造の「場」を追求しています。また、醸造に用いるテラコッタ(壺)はπウォーターをイタリアに送り、イタリアの土と合わせて焼いたものを使用しています。醸造には西日の光が良いと言われており、夕方の日差しが柔らかく入るような設計になっています。トミハラヴィンヤードの地形と気候
ここ、上富良野町にあるトミハラヴィンヤードは大雪山系と夕張山地に三方を囲まれた富良野盆地の東側、南西斜面の小高い丘にあります。春から秋にかけて山の谷間を南風が吹く、昼と夜の気温の日較差と夏と冬の気温の年較差が大きい内陸性気候です。こうした気候はぶどうの生育に適した気候とされ、近年では生育期間中の降水量が少なく日照時間も長い傾向で、凝縮した健康で良い果実をつけます。
ビオディナミによるぶどう栽培
ビオディナミ(バイオダイナミック農法)を実践し、厳格な自然派ワイン造りを行っています。バイオダイナミック調合剤を農場で自作し、散布することで畑の環境を整え健康で生命力に満ちた土とぶどうをつくります。牛糞堆肥にバイオダイナッミク調合剤を入れることで完熟した良質な堆肥を作成し、さらにぶどうの搾りカスや剪定枝を混ぜて堆肥化して畑に還元し、循環させています。
あらゆる生物が集う豊かな空間へ
畑の排水性を良くするため、暗渠管を入れたりすることがありますが、トミハラヴィンヤードでは畑の周りにクルミ、白樺、イタヤカエデ等の樹木を植え排水や風の通りをデザインしています。花の咲く植物を畑の周りに植えることで、様々な虫や動物が集います。豊富な生態系によりぶどうの害虫のみ大量に発生してしまうことを防いでいます。
また、畑の除草も最低限にとどめ、虫の発生時期からタイミングとバランスを見て行ってます。 ぶどうの垣根には防腐処理を行わず、カラマツの表面を焼いた木杭を使用してます。畑にはなるべく自然の素材のものを使用し、環境へ配慮しています。
ぶどうの畝間にはライ麦を蒔き、根を伸ばすことで耕盤層を破壊し、ぶどうの根が地中深くまで入りやすいようにしています。地中深くまで伸びた根は畑の微量要素も吸い上げ、果実の味に影響を与えます。ただ放置というのではなく、でも自然の大いなる力に身を委ねて、畑を整えています。
可能性を秘めた”山幸”
自然な環境を整え、ぶどうが負荷無く畑の生態系と共存できることが健康で生命力に満ちた果実を付けると考えています。そのために、地域の気候や環境に合ったぶどう品種の選定が大切です。私たちは、北海道に自生していた山葡萄のルーツを持つ山幸こそが適格であると考えました。
山幸は粒の密着度が低いバラ房で灰色かび病などの病気に強く、耐寒性があり、冬場雪の中に樹を埋める必要がないことから自由な仕立てができます。垣根の一番上のワイヤーまで母木を伸ばし、そこから新梢を下に垂らす下垂型誘引を一部取り入れてます。山葡萄本来の仕立てに近く、ぶどう樹にストレスがない他、遅霜や動物の食害も防げます。様々な環境作りの方法やぶどう樹の仕立てを試し、より良い生き生きしたぶどうを取るために、栽培方法を模索しています。
神霊ある山の尾根で新たな歴史を紡ぐ
2023年の自社ワイナリー開設にあたり、岩見沢市の10Rワイナリーにて委託醸造と研修を行ってきました。亜硫酸塩不使用、野性酵母での発酵、補糖や補酸行わず、清澄剤(せいちょうざい)不使用でろ過も行わない、厳格なヴァンナチュール造りを学ばせていただきました。 今後は、カムイ・メトッ・ヌプリにて、発貯蔵の容器なども自然な素材のものを用い、コールドマセレーションやマセラシオンカルボニック等、山幸の特徴を引き出す技法を模索し、この土地ならではのテロワールを表現するワイン造りに向き合っていきます。
<トカプチの代表的なワイン>
レラカント 〜天空の風〜
トイ・ホプニ 〜土からの目覚め〜
アペ・ノンノ 〜火の華〜
ミンツチ 〜水の精霊〜
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