トミハラヴィンヤードの地形と気候
トミハラヴィンヤードは大雪山系と夕張山地に三方を囲まれた富良野盆地の東側、南西斜面の小高い丘にあります。春から秋にかけて山の谷間を南風が吹く、昼と夜の気温の日較差と夏と冬の気温の年較差が大きい内陸性気候です。こうした気候はぶどうの生育に適した気候とされ、近年では生育期間中の降水量が少なく日照時間も長い傾向で、凝縮した健康で良い果実をつけます。
ビオディナミによるぶどう栽培
ビオディナミを実践し、厳格な自然派ワイン造りを行っています。バイオダイナッミック調合剤を農場で自作し、散布することで畑の環境を整え健康で生命力に満ちた土とぶどうをつくります。牛糞堆肥にバイオダイナッミク調合剤を入れることで完熟した良質な堆肥を作成し、さらにぶどうの搾りカスや剪定枝を混ぜて堆肥化して畑に還元し、循環させています。
畑作り
畑の排水性を良くするため、暗渠管を入れたりすることがありますが、カミフラノイ農場では畑の周りにクルミ、白樺、イタヤカエデ等の樹木を植え排水や風の通りをデザインしています。花の咲く植物を畑の周りに植えることで、様々な虫や動物が集います。豊富な生態系によりぶどうの害虫のみ大量に発生してしまうことを防いでいます。また、畑の除草も最低限にとどめ、虫の発生時期からタイミングとバランスを見て行ってます。
ぶどうの垣根には防腐処理を行わず、カラマツの表面を焼いた木杭を使用してます。畑にはなるべく自然の素材のものを使用し、環境へ配慮しています。
ぶどうの畝間にはライ麦を蒔き、根を伸ばすことで耕盤層を破壊し、ぶどうの根が地中深くまで入りやすいようにしています。地中深くまで伸びた根は畑の微量要素も吸い上げ、果実の味に影響を与えます。その土地ならではのテロワールを表現するワイン造りのための大事な作業です。
ぶどう栽培
自然な環境を整え、ぶどうが負荷無く畑の生態系と共存できることが健康で生命力に満ちた果実を付けると考えています。そのために、地域の気候や環境に合ったぶどう品種の選定が大切です。北海道に自生していた山葡萄のルーツを持つ山幸こそが適格であると考えました。山幸は粒の密着度が低いバラ房で灰色かび病などの病気に強く、耐寒性があり、冬場雪の中に樹を埋める必要がないことから自由な仕立てができます。垣根の一番上のワイヤーまで母木を伸ばし、そこから新梢を下に垂らす下垂型誘引を一部取り入れてます。山葡萄本来の仕立てに近く、ぶどう樹にストレスがない他、遅霜や動物の食害も防げます。
様々な環境作りの方法やぶどう樹の仕立てを試し、よりぶどうがストレスなく健康で生命力に満ちた果実をつけるような栽培方法を模索します。
ワイン醸造の取り組み
2023年の自社ワイナリー開設にあたり、10Rワイナリーにて委託醸造と研修を行ってます。亜硫酸塩不使用、野性酵母での発酵、補糖や補酸行わず、清澄剤不使用でろ過も行わない、厳格なヴァンナチュール造りを学んでおります。また、発酵や貯蔵の容器はクヴェヴリ等自然な素材のものを用います。
コールドマセレーションやマセラシオンカルボニック等、山幸の特徴を引き出す技法を模索しています。